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ペンギンと地球

人類とのつきあいが最も長いペンギン~化石人類の時代から現代までケープペンギンたちはなにを見てきたのか?~

著:上田一生

人類は、約700万年前、南アフリカで誕生したと言われている。一方、現在知られている最古のペンギン化石は6000万年以上前のものだから、生命の歴史上、人類はペンギンよりもはるかに新参者だ。化石人類たちは、その後、アフリカ大陸を北上し、ユーラシア大陸からアメリカ大陸、そして太平洋の島々やオセアニアへと、徐々に進化しつつ拡散・定住していった。だから、これまでの「ペンギンとヒトとの関係史」は、ユーラシア大陸やアメリカ大陸、オセアニアでの「出会い」にスポットライトがあてられてきた。人類の故郷=アフリカ大陸での「出会い」については、1497年のヴァスコ・ダ・ガマの航海を記録したアントーニオ・ピガフェッタによるものだけがよく知られている。なぜなら、これが人類がペンギンについて「正式に記録を残した最初の事例」だと言われているからだ。
たしかに、「人類によるペンギンに関する最初の記述」という事実は、その通りだろう。しかし、南アフリカで誕生した人類は、アフリカ大陸を北上しただけだったのだろうか?アフリカ大陸をあとほんの少し南西にむかえば、そこには温暖で豊かな海岸線が広がり、数えきれないほどの動物が群れていたはずだ。現在でも、アフリカ大陸の南西沿岸、特にナミブ砂漠から南の海岸線には、ペンギンだけでなく多くの海鳥たち、海生哺乳類が繁殖地を構えている。初期の人類が、この豊かで生活しやすい地域にたどり着き、そこに生息していた野生動物を獲物として暮らしていた。そんな想像をすることも、決して不可能ではない。しかし、今のところ、そういう事実を裏づける科学的、考古学的証拠は見つかっていない。しかも、数百万年前にケープペンギンが現在の地域に生息していたということを裏づける確実な研究もない。
だから、今こそ「最初のペンギンと人類との出会い」について真剣に調べてみる価値はあるだろう。ケープペンギンは、20世紀前半、南アフリカとナミビアに数百万羽いたことがわかっている。その後、人間たちは毎年10万個以上の卵を採取し続けた。1950年代に15万羽に激減すると、ワシントン条約をはじめとする様々な保護措置がとられたが、船舶事故による重油汚染や漁業による餌(イワシのなかま)の乱獲、そして最近は、地球温暖化に起因するのではないかと考えられるベンゲラ海流の変化によって、餌生物の減少が加速したため、2009年時点で、ついに個体数は5万羽ほどになってしまった。
アフリカ大陸唯一のペンギンと人間との共存は可能なのか?ここで少し立ち止まり、ケープペンギンとの長いつきあいに思いをはせてみてはいかがだろうか?

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