Project01Vol.3未来はみんなが絵本作家!?

女子美×ドットDNP コラボレーションプロジェクト
「デジタルえほん&ワークショップ」Vol.3

2015年9月28日更新

はじめに

「みんなが絵本作家」が未来のあたりまえ?

これまで、絵本作家になるためには、出版社や書店の協力が不可欠で、絵が得意な美術大学の学生でもそのきっかけをつかむのは大変難しいことでした。
しかし、「電子書籍」の世界に目を向けるとどうでしょう。自ら作品を作り、インターネットで公開することで、誰でも絵本作家になることができるのではないでしょうか?また、デジタル化によって、絵本の作り方はどのように変わるのでしょう?
昨年に引き続き、「未来はみんなが絵本作家!?」をテーマに、女子美術大学とDNPで新たな未来の可能性を探ってみました。

活動内容

デジタルえほんを作ってみよう!

女子美術大学の授業で行われているDNPとの産学共同プロジェクトでは、学生たちはこれまで、メディア表現領域の季里教授の指導のもと、企画・構成・物語づくり・イラストレーションから、音楽・編集まですべて一人で担当して、デジタルえほんづくりに取り組んできました。
今回のワークショップはこのプロジェクトの一環で、「女子美×ドットDNPコラボレーションプロジェクト」の第3弾。2015年8月8日、コミュニケーションプラザ ドットDNPで開催されました。長い時間をかけて授業でデジタルえほんづくりを学んできた女子美術大学の学生ではなく、実際に作品づくりに挑戦するのは一般の参加者の皆さん。学生たちは今回は先生役です。果たして本当に「みんなが絵本作家」になれるのでしょうか?

「デジタルえほん」とは、タブレット端末やスマートフォンなど、デジタルデバイスを用いて見る絵本のことで、本のページをめくるように画面を切り替えて読んだり、音声やアニメーションを楽しんだりするデジタルコンテンツです。
ワークショップでは、デジタルえほんの制作・共有ができる無料ツール「FlyingCat」をベースに、オリジナルデジタルえほんづくりを体験しました。

「FlyingCat」は、プログラミングなどの専門的な知識を必要とせず、誰でも簡単に、飛び跳ねたり、転がったりなどの動きを表現することができるデジタルえほん制作ツール。
今回は、「FlyingCat」をさらに感覚的に使えるように、それぞれの学生が制作したキャラクターや背景などの素材をセットアップし、学生が先生役として参加者を指導しながら、マンツーマンで実際にデジタルえほんを作っていきます。
※デジタルえほん制作アプリ「FlyingCat」については、こちらをご覧ください。

ワークショップは、(1) 絵コンテを作る、(2) FlyingCatを使いデジタルえほんを作る、(3) 作ったものをみんなで鑑賞する、という流れで行われました。
参加者は、学生があらかじめ制作したキャラクターや背景からイメージをふくらませて、3ページ分のオリジナルストーリーを考え、絵コンテを作ります。

絵コンテに合わせて、画面にキャラクターを配置。動きや音をつけて、実際にデジタルえほんを作っていきます。
初対面の学生と参加者も、作業が進むにつれ自然と距離が縮まり、「こういう動きをつけたいんだけど…」「それならこんな表現方法がありますよ」というように、積極的にコミュニケーションを取り合うようになっていきました。

海の底におじいさんが現れたり、うさぎとかえるが恋をしたり。そんな個性豊かな作品がようやく完成し、それらを全員で鑑賞しました。中には、丸や三角などの素材を組み合わせて、オリジナルのキャラクターを作りあげた人も。
宇宙飛行士が旗を立てる動きがスクリーンに映し出されると、会場から「そんな動きもできるんだ!」と感嘆の声が上がっていました。

参加者のほとんどがデジタルえほんづくりは初体験でしたが、「学生さんが丁寧に教えてくれたので、分かりやすかったです。お互いにいろいろ意見を出し合いながら、楽しく制作できました」など、「参加してよかった!」という声が多く寄せられました。

苦労した点を伺うと、「メインのキャラクターが動き始めたら、別のキャラクターが消える、など、連携した動きをつけるのが難しかったですね」という声も。
「プレゼンテーションソフトでの作業と似ていたので、理解しやすかったです。今後は、もっと複雑な作品にも挑戦してみたい!」という方もいました。

先生役を初めて体験した学生からは、「参加者の方から『こういう動きをつけるにはどうしたらいいですか?』など積極的に質問してくれて、新たな気づきもありました。刺激にもなりました!」という声が。
ほかにも、「参加者と一緒になって考えたおかげで、自分一人では絶対に出てこなかった発想が生まれ、面白い作品ができました。人に教えることで、自分の勉強にもなりました」との声も聞かれました。

ワークショップを終えて、季里先生にお話を伺いました。
「絵がうまくないと絵本作家にはなれないと思われがちですが、絵を描くツールを使ったり、絵が描ける人とコラボするなど、作品を生み出す『手段』はいくらでもある。それこそが『誰もが絵本作家になれる』ということだと、今回きちんと実証できた気がします。また学生にとっても、人とコミュニケーションを取りながらものづくりを進める良い経験になったと思います」。

DNPの三戸さんにもお話を伺いました。 「初めて会う人同士が並んでパソコンの前に座り、並んでの協働作業では、最初は言葉が少なくても、会話を重ねるにつれ、だんだんアイデアも生まれてくるようで、面白かったですね。コミュニケーションは、アイデアを出すプロセスとしても有効です。また、ツールさえあれば誰でもアイデアを形にできるという点も、プロジェクトでは大いに実感できました。」

まとめ

ついに見つけた!「みんなが絵本作家になれる未来」とは?

季里先生が話されたように、いまや創作物を生み出したり、発表したりする手段はさまざま。その手段を見つけることができれば、絵本に限らず、誰もが作り手になれる環境になってきています。
また、三戸さんのお話にあったように、誰かと共に作業することで、一人では考えつかなかったような斬新なアイデアが生まれることもあります。ものづくりの基本は、人と人とのコミュニケーションなのだと、改めて実感させられます。

ある程度の技術を習得するだけで、誰でも簡単にデジタルえほんを作れる環境は整ってきました。今後このようなワークショップを通じ、たくさんの人が実際にデジタルえほんづくりを体験する機会が増えると、絵本を取り巻く環境はもっと変わっていくのではないでしょうか。
「みんなが絵本作家になれる」未来では、みんなで意見を寄せ合いデジタルえほんを作るといった創作活動のカタチが一般的になり、それを通して、さらに人と人とのつながりが広がりそうです。

 

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新しい絵本づくりのカタチとは?

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