Project04グランプリは「まばたきで写真」!?

日本経済新聞社主催「未来の教育スタイル・アイデアコンテスト」

2014年6月18日更新

はじめに

学び×ICT×未来=!?

教育現場で最近よく耳にする言葉のひとつにICT(Information and Communication Technology)があります。ICTの浸透は、学習効果や学ぶ楽しさを高める可能性を秘めていることは間違いありません。しかしながら、ICT自体はただの道具。それを使って「どんな教育」を行えば、より楽しく“学ぶ”ことができるのでしょうか。

そんな問いに対して答えられるのは学生自身ではないか?という仮説のもとに、今、学びの真っ只中にいる6組の学生たちにその問いを投げかけてみました。

活動内容

2030年の学びは遊びを超える!?

日本経済新聞社主催「未来の教育スタイル・アイデアコンテスト」の最終審査会は新宿区市谷にある「コミュニケーションプラザ ドットDNP」で開催されました。最終審査会に参加したのは応募総数50組の中から選ばれた6組の高等専門学校生、大学生、大学院生。最終審査のプレゼンテーションでは、アイデアの斬新さはもちろん、アイデア構築に至った調査能力やアイデアの有用性、プレゼンテーション能力が試されます。

「夢」だけでなく有用性や実現可能性を視野に入れた大人顔負けの発表に、現役社員からも「すごい!すぐに製品化できそう」などの声が上がりました。驚かされたのは、学生たちのプレゼンテーションの上手さです。自分らしい言葉で表情豊かに行われた説明は、審査員の理解を深めるだけでなく、発表者の熱意が伝わるものでした。

審査員が目を見張るアイデアが続々と!

何より素晴らしかったのは、アイデアが「自身の経験」を発端に生まれたものであったこと。たとえば電子ペーパーを用いた学習机を提案した熊本高等専門学校は「子ども時代の落書き」がアイデアの種。ペーパーレスの授業が実現してしまったとしたら、紙の上に自由に落書きする遊び心はなくなってしまうのだろうか? そんな素朴な想いから、紙のアナログさとデジタルの利便性を融合したシステムのアイデアは生みだされました。

グランプリはライフログするコンタクトレンズ

6組のプレゼンテーションが終わり、懇親会の後で、学生たちは審査結果の発表に臨みました。グランプリは法政大学、特殊な機能を搭載したコンタクトレンズを装着することで体験や記憶をつぶさに記録できるというシステムは、まるでSF映画に出てきそうな話ですが「記憶や体験こそが深い学びに欠かせない」という、独特な学習スタイルのアイデアが受賞のポイントとなりました。

まとめ

「知識重視の教育から、知識をもとに考える力を養う」。こうしたテーマに対して、自身の経験を振り返り、そこから革新的な未来のアイデアを生み出した6組の学生たち。そこには確かに、“考える”という豊かな力がありました。そしてその力を、未来の子どもたちにしっかりと受け継いでくれることでしょう。

参考資料

「KIKI〜キオクをキロクする」

最優秀賞
法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科
チーム名:KIKI

人間の脳の視覚活動をキャプチャーし、デジタル動画として再現できるシステムを搭載したコンタクトレンズ。
このレンズを用いることで、自身の体験や記憶を記録し、自由に取り出すことを可能にします。この技術を学習の現場に応用すると、生徒が実際に体験した記憶や感覚を教材として使用でき、より深い理解を得ることができます。たとえば英語のtalkとspeakといった曖昧な意味をもつ単語は口頭で意味を説明するだけでは充分な理解が得られない場合が多いですが、自身の体験に照らし合わせることで正確に理解することができます。このように、自身の体験や記憶を自分だけの教材として活用する新しい教育スタイルと手法を提案します。

「人を育てるために学ぶ 学習プラットフォームFLOCKS」

優秀賞
青山学院大学大学院 理工学研究科 理工学専攻 マネジメントテクノロジーコース
柳澤一馬

FLOCKSは「教師対生徒」という1対1の教育スタイルとは違った、「人を育てながら自分自身も学ぶ」という仕組みを提供するオンラインでの学習プラットフォーム。
人に勉強を教えることで、自分自身の理解度も高まり、結果、自分も周囲の学生も学力が向上していく。わからない問題をアプリのタイムライン上に共有すると、すでに理解しているユーザーが解説してくれます。教えてもらった人はそれに対して評価をつけることができ、高い評価をもらったユーザーはさらに教えることが楽しくなる仕組み。教える側も教えられる側も学習意欲を高く持ち続けられる、コミュニケーション型の学習スタイルです。

「動画印刷〜楽しくてわかりやすい、教科書のための新しい印刷」

優良賞
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
チーム名:3次元図法コンビ

周期的に色が変化する特殊インクを用いることで、紙に印刷した写真やイラストを動画として再生できるツール。
たとえば物の動きを学ぶ「物理」という科目。苦手な人が多いのは、教科書が紙面上で物の動きを伝えられていないことも理由のひとつでしょう。ならば教科書に動画を印刷すれば、物理はもっとわかりやすくなるかもしれない。それを実現するひとつのアイデアとして、既存のインクを使った動画印刷の可能性を提案します。

「Doodle Desk」

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熊本高等専門学校 工学部 専攻科 電子情報システム工学専攻
チーム名:CHOCOLATeism

電子ペーパーを学校の学習机に貼りつけることで、従来の紙の書き味や、「自由に描く」という創造性を残しつつ、デジタルデバイスならではの保存性や利便性を融合させたツール。
電子ペーパー上に書かれた情報はクラウド環境に保存されるため、授業中の学習内容を生徒全員で共有することも可能。自宅のPCやタブレット端末からデータを引き出すこともできます。大量のノートやプリントを持ち運ぶ負担を減らしつつ、いつでもどこでも自由に使える電子ペーパーの机。ICTとアナログの魅力を併せ持った未来の学習ツールです。

「みんなではいろう がいこくえほん〜外国語で絵本を演じる体験型教育ツール」

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千葉大学大学院 工学研究科 デザイン科学専攻
チーム名:先進的マルチキャリア博士人材育成プログラム 赤タンク

3Dホログラムや立体音響システムなどを活用し、教室のなかに絵本の空間を作り出すシステム。
シーンごとに表示される英語のセリフを音読すると物語が進行する仕組みになっているため、絵本の世界に入り込んだような臨場感を味わいつつ、楽しみながら積極的に外国語学習ができるツールです。

「技能習得のための仮想環境とロボットによる製作代行システム」

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東京工業高等専門学校 機械情報システム工学専攻
岡野卓矢

家庭科や書道、美術のような実技科目へのモチベーションを高めるためのロボットを使ったシステム。
筆記試験のように定量的に評価されづらい実技科目は、その分生徒の学習意欲が低下しがちです。その問題を解決すべく、いつでも実技科目の練習ができ、成果を第三者が評価できるシステムを構築しました。学習者と第三者の媒介となるのはロボット。学習者が仮想空間で作ったり、描いたりしたものを、モーションセンサーを感知したロボットが模倣します。その成果物をインターネットを介して第三者に提供することで、学習者は評価を得られます。今後さらに学習機会の低下が予想される実技科目を、より楽しく効率よく学ぶためのシステムです。

 

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