Project07Vol.2ロケット素材でロボット作り

FabLabKamakura×ドットDNP
モノづくりの未来を考えるワークショップ vol.2

2014年9月12日更新

はじめに

「作る」の先にあるもの。そこから「未来のモノづくり」を考えます

3Dプリンターなどデジタル工作機器がぐっと身近な存在になって、今や多くの人がより高度なモノづくりを気軽に楽しめる時代。何か一つでもモノをつくると、大きな喜びや達成感が味わえるものです。
しかし、ヒトの営みは「モノを作って終わり」ではないはず。たとえば、作ったモノを誰かに見せたり、作ったモノを誰かのアイデアで改良したり……。
「作る」のその先には、いったいどんな世界が広がっているのでしょうか?
老若男女が楽しく取り組む「ロボット作りプログラム」をレポートしながら、「作る」の先にあるものを見つめ、「未来のモノづくり」のヒントを探ってみました。

活動内容

ロボット作りをみんなで学び、教えあい、分かちあう

2014年8月、「ロケット素材でロボット作り」第2回目のワークショップがコミュニケーションプラザ ドットDNPで開催されました。このプログラムのパートナーは、「誰もが自由な発想でモノづくりできる社会」を目指すFabLabKamakura。参加者はモノづくりが大好きな老若男女18名。折しも隣の会場では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力による宇宙フェアが開催されているためか、来館者の多くが足を止めてワークショップを見学していました。

ロボットは各自1体ずつ、4時間かけて作ります。工程は①マイコンを搭載した電子基板へのプログラム入力、②モーターや車輪で構成される駆動部の製作、③厚紙によるボディの組み立て、④電子基板と駆動部を結ぶ電子回路の製作の四つ。作業中には、メカの組み立てが苦手な女性は、プラモデル作りの得意な男性から手ほどきを受け、プログラミングが不得意な中年の男性は若者に教えを乞うています。会場のあちこちでなごやかな笑いが起こり、終盤には全員が笑顔になっていました。

ロボットを1体ずつ完成させることで、プログラミング、メカの組み立て、電子回路の実装など、モノづくりの基礎を学んだ参加者たち。次はその応用編です。5つのチームに分かれ、ロケット素材の「フェアリング(=衛星を保護する外殻)」を使ったロボット作りに挑戦します。プログラムやハンダ付けなど、それぞれが話し合って得意な作業を分担し、互いに協働することで、モノづくりの輪は確実に大きくなっていきます。

ワークショップを締めくくるのは、5つのチームが作った5体のロボットによるタイムレース。リモコン操作でロボットに決められたコースを走らせ、その速さを競います。レースは白熱し、会場はこの日一番の大盛り上がり状態に。「ロボットを作って終わり」ではなく、作った後に実際に動かし、みんなでレースを観戦して喜びを分かちあう。これも確かに、モノづくりの醍醐味といえるでしょう。

同時に、ドットDNPでは2014年8月5日から20日まで宇宙フェアが開催されました。ロケット、国際宇宙ステーション、「きぼう」日本実験棟の模型展示とともに、来館者の目を引いたのが宇宙食。DNPが開発した3層構造の宇宙日本食パッケージの実物が多数展示されました。

宇宙フェア会場に設けられた、フェアリングロボット展示コーナー。来館した子どもたちはリモコンでロボットを自由に動かし、夢中になって遊んでいました。「お家のリモコンでも作れるの?」「もっと速く動いて!」と、興味津々。誰かが作ったモノを、別の誰かが手に取って使うことで、モノづくりに対する関心が芽生え、自分もモノづくりに参加したいという意欲が生まれてくる。モノづくりはそうやって人から人へと受け継がれ、人と人とを結びつけていくのではないでしょうか。

FabLabKamakuraでは毎週月曜日に「朝ファブ」と題し、市民が集い、学び合い、高め合うという創作の場を提供しています。レーザーカッターや3Dプリンタなどが用意された築125年の蔵にある実験工房。第1回フェアリングロボットワークショップに参加したメンバーはその環境の中で、持ち帰ったロボットの改良に取り組んでいます。参加者最高齢であった70代の男性は、今回出来上がったロボットの「動かせる」という点に着目。ロボットの動きをベースに「からくり人形」を作り上げる構想に取り組んでいます。

また、ワークショップ当日、娘さんと参加されていたお父さんは、「どうすればもっと速く、正確に走らせることができるのか?」とカスタマイズを着手。試行錯誤を繰り返し、部品の組み立てや配線、プログラミングにいたるまでを考え直し、ブラッシュアップさせました。さらにその方法や過程をレポートとして朝ファブのメンバーと共有。一度はじまったモノづくりが連鎖的に拡大していくという現象が、ワークショップを起点に起こりはじめているのです。

まとめ

モノは人々に共有され、そこにコミュニティが生まれる

今回、「作る」の先にあるものが少し見えてきました。それは「共有する」ということです。誰でも自分のアイデアを手軽に形にすることが可能な時代になりました。しかし、「モノづくり」はそれで終わりではありません。作ったモノは別の誰かに活用されたり、別の誰かのアイデアでより高いレベルに改良されたりします。モノは誰かと共有され、今度はモノを核に人の輪が広がっていくのです。
1回目のワークショップ参加者が具体的な行動を起こしてくれていることも大変嬉しく思っています。

また今回、印象的だったのは“笑顔”です。
参加者の皆さんは初対面ということもあり、最初は緊張した面持ち。ところが、「何かを作る」という目標を共有することで、会話が自然に生まれ、気がつくと会場のあちこちに小さなコミュニティがいくつもできていました。皆さんがいつの間にか気持ちのいい笑顔になっていたのです。モノづくりは、年齢や性別を超えて人と人をつなぐコミュニケーション・ツールになるんですね。2回のワークショップを通して強い実感となりました。
最後に、今回のワークショップをワークフレーム自体をオープンソース化し、インドネシアやフィリピンなど、アジアを足掛かりに国境を越えて展開していきたいと、担当者も熱い思いを語ってくれました。次回のワークショップでは、「ものづくりを通じた情報公開とコミュニティの広がり」をテーマにレポートしたいと思います。

 

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