Project07Vol.3ロケット素材でロボット作り

FabLabKamakura×ドットDNP
モノづくりの未来を考えるワークショップ vol.3

2014年11月10日更新

はじめに

「未来のモノづくり」をさらに追及!

3Dプリンター、レーザーカッターといった「デジタル工作機械」の驚くべき性能がメディアなどで盛んに報道されています。複雑な立体を、一般の人でも簡単に造形できるツールが身近になり、「こんなモノをつくりたい!」というアイデアを具現化できる社会が、もはや「夢」ではなくなってきました。
「モノづくり」の未来を探ってきたこのレポートも、今回でついにVol.3。個人の技術や知識の限界にとらわれず、自由な発想をカタチにする「未来のモノづくり」が、実はコミュニティーの起点になるのだということが前回までのレポートでわかりました。本レポートでは、「モノづくり」そのものをもう一度見つめ直し、さらにその先を探ることで「未来のあたりまえ」への一歩を踏み出したいと思います。

活動内容

未来のモノづくりへ、その第一歩を探る

2014年9月27日、コミュニケーションプラザ ドットDNPで、「ロケット素材でロボット作り」の第3回ワークショップが開催されました。
今回も20代から50代後半までの参加者が集まりました。「自分の仕事に活かしたい」「プログラミングから組み立てまでを学びたい」「自分でつくったロボットで子どもと遊びたい」等々、参加の動機は十人十色でしたが、総じて「普段からモノづくりに強い関心を寄せている人」が多かったようです。
これまで同様、パートナーを務めてくれたのは、デジタル工作機械を用いて「誰もが自由な発想でモノづくりを行なえる社会」を目指して活動している、FabLabKamakuraのみなさんです。

ワークショップの前半では、4つの工程を通して、1台のロボットを1人で組み立てていきます。まずは「①ロボットの脳」をつくるという工程です。ここではArduinoという、安価で手に入り、電子工作初心者でも簡単に扱うことのできるマイコンボードを利用します。配布されたソースコードを基盤にインプットしてリモコンで動くロボットの脳が完成です。次に「②ロボットの駆動部」をつくります。使用するのは市販されている模型メーカーのギアボックス。ロボットづくりの材料と聞くと特殊な部品のように感じてしまいますが、意外と身近なところで手に入るものばかりなんですね。

脳と駆動部が出来あがったら、次は「③ロボットの外装」をつくる工程です。今回製作するロボット用にレーザーカッターで切り出した厚紙を組み立てて、ロボットの体を作ります。最近ではレーザーカッターを貸し出している団体や施設も多く、デザインデータを持ち込めばその場で出力することができるそうです。最後に「④ロボットの神経」をつなげていよいよ完成!ブレットボードと呼ばれる、電子回路をはんだ付け不要で手軽に製作できる基板を利用します。完成した自分のロボットを操作して、みなさん童心に帰ったように楽しそう。会場のあちらこちらで試走がはじまりました。

ここで、驚いたことに、今、組み上げたばかりのロボットのプログラムを書き換えて、ジグザグ走行ができるようにしたり、配線図を見ながら「もっと改良できないか?」「なぜ想定した動きをしてくれないのか?」と、スタッフと議論する参加者の姿が。また、ワークショップの後半でおこなったロケット素材「フェアリング」を使ったチームでのロボット製作でも、参加者の創意工夫は尽きません。はんだごてやテスターを駆使して、ハプニングを次々と克服していったのです。用意されたマニュアルはあくまでも素材であって、その場でアイデアを出し、仲間と共同で理想を実現していく……そんな姿に、3回目を迎えた本ワークショップの成熟を見る思いがしました。

「情報公開」から生まれる新たな展開

モノづくりを共有することで、コミュニティが広がることを改めて目のあたりにし、この広がりをついに世界へと拡大する試みが行われます。今回新たな取り組みとして、「ロボットづくり」ワークショップの内容が、Webサイト上で公開されることになったのです。ロボットの制御プログラム、設計図などをダウンロードして、必要なパーツを揃えれば、サイト上の手順書を参照することで誰でもロボットを作ることができます。ロボットづくりに必要な情報を公開することで、興味のある人が実際に製作し、独自の改良を加え、さらにはその成果を再び公開・共有する。こうして、このプロジェクトが人から人へと伝わり、進化・発展していくことが期待されます。

実は、FabLabKamakuraでは、以前にも「モノづくり」に関するプログラムを公開した経験があります。KULUSKA(クルスカ)という革職人ユニットと行った「レーザーカッターを使ったスリッパづくりワークショップ」です。「ケニアのFabLabでも同じワークショップをやりたいからデータを公開してくれないか?」という要請にこたえ、使用するスリッパのデータをクリエイティブ・コモンズ・ライセンスというデータを使用する際のルールを適応させ、制作レポートもぜひ送ってほしいというお願いをして、ケニアのラボに公開しました。その結果、出来上がったのはケニアの気候にあわせてつくられたサンダル。しかも一人ひとり自分のニーズにあった工夫がされていました。同じワークフレームでも、場所と時間、集う人が違えばアウトプットされるものも違ってくるのです。今でもこのプログラムは世界中を旅しながら、進化・拡散しています。

まとめ

世界中がつながって、つくって、共有する

ロボットづくりワークショップ第1回では「作りたいと思っていたものを誰もがつくれるようになる未来の可能性」を知り、第2回では「モノづくりを通して世代や住んでいる場所を越えたコミュニティーが生まれること」に気づきました。第3回ではついに「オンラインでデータを共有し、手にしたデータを様々な人たちがカスタマイズ、さらにその情報を公開・共有する」という「未来のモノづくり」を実践してみることにしました。「どんな反応が出てくるのか、わからない部分もありますが、公開後は、作例がいろいろ寄せられて、ショウケースのように賑やかになってほしいです。そのために、プログラムの利用者から様々なフィードバックが得られるよう、受け皿を準備しておくことが大切だと思います」と、DNPの担当者も目を輝かせます。

また、別の担当者からは、さらに一歩先を見据えた話も出ました。「パーソナルなモノづくりが主流になると、それが個人の問題を解決し、大きな目でみると社会が抱える問題を解決する糸口になるかもしれない。そんな夢のような話も、この『未来のモノづくり』から実現するかもしれません」。FabLabKamakuraの渡辺さんも今回の取組みに期待を寄せています。「こんなモノがあればいいな、という素朴なアイデアは、誰もが抱くものです。パーソナルな工作を実現できる環境が、かなり整ってきた今。今後は、20世紀の大量生産のものづくりでは実現できなかった、使い手ひとり一人に寄り添った多様性溢れるモノがどんどん生まれてくると面白いですね。」

3回にわたって行われてきた「ロケット素材のロボットづくり」ワークショップ。各回の参加者の皆様からのフィードバックや、スタッフの反省点を反映しながら改善を重ねてきました。今後、プログラムの内容が公開されることで、ワークショップがドットDNPを飛び出し、カタチを変えながら発展していく可能性が芽生えました。「プログラムに関わった様々な要素が成長し続ける」こと、それが本ワークショップの大きな特長であり、「未来のモノづくり」そのものなのです。「このワークフレーム自体をオープンソース化して国境を越えて展開していきたい」その思いがついに実ったのです。

プログラミングや電子工作にふれる「ロボットづくり」ワークショップのプログラムは、下記サイトからダウンロードいただけます。

ダウンロードページ

 

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