Project15Vol.2デジタルマガジンで地域の魅力を発信

金沢美術工芸大学×DNPメディアクリエイト 産学連携プロジェクト
デジタルマガジン「kanavi」(カナビ)

2016年5月17日更新

はじめに

“目利きの視点”で金沢の新しい魅力を創出

金沢美術工芸大学とDNPメディアクリエイトは産学連携プロジェクトとして、地域発信型のデジタルマガジンの共同研究を行っています。美大生の“目利きの視点”で金沢の魅力を掘り起こし、スマートフォンやタブレット端末向けに最適化されたコンテンツを提供することで、金沢の観光と産業の活性化につなげることを目的に活動しています。今回、金沢の町家保全の活動を取材したVOL.1に続き、学生たちが金沢のアート・工芸を取材する様子を追ってみました。

活動内容

金沢のお酒に合う器を求めて若手作家の工房へ

「kanavi」は、金沢美術工芸大学の学生が企画から取材、撮影、編集、レイアウトまで行い、DNPメディアクリエイトが開発を行うデジタルマガジンです。メインのコンテンツは、金沢市内に在住の作家を取材し紹介する記事。気になる作家、あこがれの作家の制作現場を訪ね、作品に込めた思いや表現技法などについて、美大生ならではの視点で掘り下げています。

次号のテーマは「教えてイケメン作家! 金沢で出会うイイ酒のためのイイ器」。石川県には原料と水にこだわって作った地酒がたくさんありますが、せっかくの地酒を飲むなら金沢の器でというわけで、金沢市内で工芸作家を訪ね、おすすめの器を教えてもらうことにしました。

陶磁器ならこの人に会いたい、と目を付けたのが魚津悠さん。水滴と見まがうような釉薬の使い方に特長がある魚津さんの作品に魅力を感じた学生たちは、金沢市の中心部から車で30分ほど行った魚津さんの仕事場がある「おしがはら工房」を訪問しました。
※おしがはら工房は小学校の分校だった建物を整備し、金沢卯辰山(うだつやま)工芸工房の研修を修了した若手作家の創作を支援する施設として活用されています。

学生たちは器の背景にあるものを探り当てようと様々な視点の質問を魚津さんに投げかけます。「作品を女性にたとえると?」「どんな女性と飲みたいですか?」など、学生らしい切り口の質問も照れ笑いを浮かべながら魚津さんは丁寧に答えてくれます。

次に学生が選んだ金沢の地酒に合う器を魚津さんに選んでもらったのですが、魚津さんが差し出したのは茶道で使う水指(みずさし)でした。皆で集まって水指に注いだお酒を器ですくって、マッコリを飲むときのような感じで楽しんでほしいとのこと。自由な発想の器づかいに学生も感嘆の声があがります。

学生たちの関心はものづくりの発想や技法へと向かいます。魚津さんの器の特長である水滴は、防水加工した表面に釉薬を指ではじくようにして付けるのですが、どうやってその技法を見つけたのかも聞き出しました。光を受けたときの透過度とか、色の微妙な変化など、器のさまざまな表情を楽しんでほしいと説明する魚津さん。独自の表現技法は、金沢卯辰山工芸工房にいたときに他の工芸ジャンルの作家と交流する中で得た情報がヒントになっていることも多いそうです。

時代とともに進化しつづける金沢の工芸

工芸の盛んな町、金沢にあって、金沢卯辰山工芸工房はその担い手を育成する機関として重要な役割を果たしています。1999年に開館して以来、263名が研修を修了し、そのうち127名が金沢市内および石川県内に定住して作家活動を続けています。(2015年3月末現在)これまで「kanavi」で取り上げた作家の多くが工房の研修生、修了生というのも、そういう背景があるからです。

「この工房は加賀藩の御細工所(おさいくしょ )の流れを汲んでいます。御細工所のものづくりの精神を受け継ぎ、現代の暮らしにあったものを作るという意味で、『平成の御細工所』なのです」と言うのは川本敦久館長。陶芸・漆芸・染・金工・ガラスの5つの研修コースがあり、プロを目指す若者が国内外から集まってきます。加賀藩の文化政策を踏襲し、書道・華道・茶道を研修に取り入れているのも他の類似機関にはない特長です。

金沢市は「ものづくり基本条例」を制定し、まちづくりの一環としてものづくりの伝統の継承発展に取り組んでいます。とはいえ、金沢卯辰山工芸工房が目指しているのは伝統工芸をそのまま継承することではありません。川本館長は「ものづくりは社会を背景にしており、表現はその時代を映しています。伝統に縛られると現代の生活の中で発展していく可能性をつぶすこともあります。伝統を背景として未来へつなげていくことが大事なんです」と言います。

金沢21世紀美術館が開館して以来、金沢は伝統的な美術工芸と現代アートに出会える文化・芸術のまちというイメージが定着してきました。美術館の周辺にはギャラリーが点在し、若い作家の作品を発表する場が増えています。独自の発展を遂げた日本の工芸はCRAFTではなくKOGEIとして世界に発信され、そこでも金沢の工芸は大きな存在感を発揮しています。「kanavi」は、そういう金沢のものづくり文化を美大生ならではの切り口でとらえ、等身大のメディアで発信しています。

まとめ

学生ならではの視点で金沢の良さを伝える

地域からの情報発信といっても、もともとそこに住んでいる人は自分たちの地域の良さを認識していないことが多いものです。学生たちは県外から金沢に移り住んできたため、外部の視点から金沢の魅力を発見し、そこで体験したことを「kanavi」で発信しています。金沢の重要な観光資源である伝統工芸に対しても、美大生ならではの審美眼や作り手に寄り添った視点からとらえようとしています。それが従来のメディアにはないオリジナルな金沢情報の発信につながり、新たな観光ニーズを呼び起こそうとしています。

「kanavi」のリリースにあたり、金沢美術工芸大学とDNPメディアクリエイトは、操作性のユーザー検証を行いました。読みやすいレイアウト、直感的に操作できるインターフェースは、こうした研究を踏まえて採用されたもので、各種メディア制作実績の豊富なDNPメディアクリエイトのノウハウが存分に活かされています。学生目線の新鮮なコンテンツで、地元産業の発展と観光集客に貢献する「kanavi」。今後の展開に期待したいです。

金沢市のアートと生活工芸を紹介するデジタルマガジン『kanavi(カナビ)』は下記サイトで確認いただけます。

kanavi公式サイト

ニュースリリース|金沢美術工芸大学とDNPメディアクリエイト “目利きの視点”で金沢のアートと生活工芸を紹介するデジタル雑誌アプリを配信
http://www.dnp.co.jp/news/10099507_2482.html

DNP 大日本印刷は、皆さまが暮らす地域の未来をよりよいものにするために、 地域の魅力づくりのお手伝いをしています。ぜひご相談ください。

 

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