Project21パッケージデザインでアジア共創の場づくり!

アジア学生パッケージデザインコンテスト

2015年1月26日更新

はじめに

国際交流で次世代のデザインを切り開く

グローバル社会といわれる現在、外国の商品パッケージをスーパーやコンビニで見かけることも少なくありません。それはつまり、世界中のデザインが我々の生活の中に浸透しているということ。新たなデザインは世界との交流のなかで生まれ、日本のデザインもまた、そのなかで大きく発展していくことでしょう。パッケージデザインコンテストを通して、来日した3か国の学生と日本の学生、グローバル化が進むといっても生活する環境が異なる学生たちは、それぞれ自分たちの未来、自国の未来についてどのような思いを持ったのでしょうか。

活動内容

コンテストを通じて芽生える未来への意識

国際交流を通じてデザインを学ぶ若い世代の育成をめざす、「アジア学生パッケージデザイン交流プロジェクト」。2014年は日本を舞台に約1週間にわたって開催されました。日本・韓国・タイ・インドネシアの学生たちが、パッケージデザインコンテスト表彰式、企業研修、デザインフォーラムなどのプログラムに参加します。
コンテスト受賞作品が展示されたのはコミュニケーションプラザ ドットDNPのイベントゾーン。DNPは、食品はもちろん、日用品、医療・医薬品、さらには宇宙食など、さまざまな「パッケージ」を研究・開発・製造しています。その知見を活かし、このプロジェクトの創立から実行委員会メンバーとして参加、2014年度は協賛企業としても携わることになりました。

コンテストの一次審査を通過した学生たちが来日し、日本の学生を含む4か国の学生が、最終審査結果が発表される表彰式に臨みます。式に先立って、全員で入賞作品を見学。他の学生の作品にもカメラをむけ、添えられたコンセプトシートを読み込む姿が印象的でした。
最優秀賞は、スルメイカを「未来の栄養食」として表現した、荒井 菜那さん(成安造形大学)の「IKAMINATOR」。シルバーと透明のパッケージの中には、そのままの姿のスルメイカ。デザインをする前にパッケージとは中身に対する価値を変える行為だと思い至り、スルメイカについて詳しくリサーチすることから制作が始まったそうです。そこから導き出されたのは「未来からやってきた、現代人のための健康食品」という、なんとも斬新なアイデアは、審査員の方々をうならせました。
その他、優秀賞、奨励賞など、各国から受賞作品が選ばれました。

学生に用意された交流プログラムは表彰式後もまだまだ続きます。3日間にわたる日本企業での研修の後、最終日にはデザインフォーラムに参加。パッケージデザインや印刷・製造等のそれを支える技術について深く学ぶ機会が設けられています。最初は国ごとに分れて固まっていた学生たちも、だんだんと打ち解けて、カタコトの英語とジェスチャーで、コミュニケーションをとるようになりました。日本の学生からは「正直、日本でこんなに英語を話すことになるとは思わなかった!」なんて声も聞こえてきました。学生たちは、「同じアジアでも、国が違うと感じ方や捉え方がこんなにも違うのか」という新鮮な驚きと、それ以上に、デザインに対する熱い思いが、国を越えて共通であることを実感できたようです。
交流プログラムに参加して、学生たちはどう感じたのか、あらためて本人たちに問いかけました。

日本から参加の荒井さんは、「受賞作品も、ただ美しいとか、買ってもらうためだけじゃなく、消費者に『環境について考えてもらうため』にデザインしているところが、同じ学生なのに本当にすごい!と思いました。環境は世界共通の問題なので、私もそういう意識を持たなくては、と考えさせられました」と、今回の交流でデザインの捉え方に変化があったようでした。
■「IKAMINATOR」荒井 菜那さん / 最優秀賞(写真右)
作品テーマ:古ぼけたモノに新しい形を与えて、新しい見え方、価値を生み出す。未来からやってきたナチュラルヘルスフード。

「日本のデザインは、見た目はシンプルだけれど、アイデアが素晴らしいところが特長ですね。今回のコンテストの最優秀賞作品のアイデアの斬新さには、本当に驚きました。日本にきて感じたことを、韓国に持ち帰って伝えていくのが、これからの私の役目だと考えています」と語るのは韓国から参加のジョ イエナさん。一人の交流が、母国の知識・経験となるのだと感じさせられる言葉です。
■「Wedding jewelry」ジョ イエナさん / 優秀賞・JPDA賞(写真右)
作品テーマ:恋人同士の記念日や愛する人をより特別に輝かせるウェディングジュエリーとして、洗練された都会的なグラフィックをテーマに表現しました。何層にも積み重なっていくパッケージで、都会らしさをそのまま表現しています。

タイから参加したワッタナモンコン ピチャヤーさんは、日本の企業研修でパッケージデザインの現場に触れ、改めて自身のキャリアを見つめ直しました。「将来は、パッケージデザインの雑誌を発行するのが夢なんです。日本でたくさんのデザインに触れて、環境や効率化のために細部までこだわりがあるのを感じました。今回学んだことも含め、いろいろな知識や最新の情報が詰まった雑誌を、タイに広めたいと考えています」。
■「OrigaMilk」ワッタナモンコン ピチャヤーさん / 優秀賞・国際交流基金特別賞(写真右)
作品テーマ:フォールディング・フォー・ライフ―生き物を折る、生命のために折る (健康+ 楽しさ +環境意識)

インドネシアから参加したアブドゥラフマン イマドゥディンさんは、自国の状況と今回自分の目で見たものを照らし合わせていました。「インドネシアでデザインが優れているパッケージを目にする機会はまだ限られています。日本企業の印刷についての技術は大変素晴らしく、こういう最先端の技術があるので、美しく便利なパッケージができるんだと実感しました。今回学んだことを活かして、人々の身近にいつも良いパッケージデザインがあるような、そんな社会を実現したいです!」。
■「Godong Tea Packaging」アブドゥラフマン イマドゥディンさん / 奨励賞・国際交流基金特別賞(写真右)
作品テーマ:商品はお茶です。最近の市場のトレンドを見ると、消費者はもはや自分たちが消費する商品が「どのように」生産されるかに注意を払わなくなっています。しかし、健康に関する様々な課題の重要性は高まる一方です。そのため私たちは、今の消費者の習慣を変えるためのちょっとしたきっかけを提供したいと思いました。

コンテストの審査員長であり、ご自身も日本を代表するグラフィック・デザイナーとして活躍されているフミ・ササダさんに、今回の交流プロジェクトを振り返っていただきました。「今回学生の作品を見て感じたのは、国によって傾向があるということ。違った環境で教育を受けた人と、デザインという共通項で交流ができたことは、彼らにとってかけがえのない経験になると思います。今後は、もっと参加国を増やして、このプロジェクトをアジア全体にまで広げていきたいです。特に、学校単位で参加をもっと呼びかけていければと考えています。アジア・ナンバーワンがどこの国の、どこの学校なのかということが、デザイン業界の活性を促し、次世代の育成へつながっていくのではと考えています」。

この交流事業に協賛企業として参加したDNPの越智さんにも、この交流プロジェクトの意義を企業の立場から語っていただきました。「アジアでの展開を広げるDNPにとっても、若い力を支援していくという活動は、非常に意義深いことだと考えています。また、学生のアイデアに触れることで、普段の仕事に活かせる刺激をもらえる貴重な機会でもあります。他方で一般の生活者の方々にとっても、パッケージを通して、身近なもののデザインに興味を持っていただく良いきっかけになったのではないでしょうか」。

まとめ

交流から共創に!未来のデザインで人々を幸せに

文化の違いを目で見て、考え、実際に体験することで、自分には何ができるのか、改めて見つめ直した若きデザイナーたち。彼らは、自身の知識・技術を、自分個人の成長のためだけでなく、国や地域のデザイン産業をさらに発展させ、人々が幸せに暮らしていくために役立てたいと願っています。そんな意識の芽生えこそが、このパッケージデザインを通した交流の一番の成果と言えるかもしれません。グローバルな交流を進めていくことで、文化についての知識が深まり、感性も磨かれ、新たなデザインの可能性を見いだすこともできるはず。
「アジアでの共創の場につなげたい」という思いが実現する日も近いことでしょう。

 

みんなとシェアしませんか?

みんなの声をきかせてください

ページの先頭へ