Project31誰からも見やすい色って、どんな色?

〜広がるカラーユニバーサルデザイン〜
体験するCUDの世界

2015年7月28日更新

はじめに

CUDが「あたりまえ」になる未来について考える

印刷物をはじめ、駅の電光掲示版や施設の案内表示など、私たちのまわりには、たくさんの色による情報があふれています。しかし、色の感じ方「色覚」にさまざまなタイプがあることは、あまり知られていないのではないでしょうか。例えば、注意を呼びかけるため目立つようにと選んだはずの色の組み合わせが、ある人にとってはかえって情報が伝わりにくく、危険にさらされることもあるのです。
誰にでも分かりやすい配色を行う「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」が普及することで、すべての人が安全で暮らしやすくなる未来について考えてみましょう。

活動内容

体験するCUDの世界

2015年6月12日、DNPとNPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)の共同主催によるCUDプレミアム・セミナーが、市谷にあるコミュニケーションプラザ ドットDNPで開催されました。第5回目を数える今回は「体験するCUDの世界」と題し、講演だけでなく、実際に色弱模擬フィルター「バリアントール」を着けて、色弱者の色覚を体験できるワークショップも行われました。

セミナーは、色の研究の第一人者、慶應義塾大学名誉教授の鈴木恒男先生の基調講演からスタート。「色覚は一人ひとり異なると言ってもいいくらい多様性があるもの。自分の見ている色が、他の人も同じ色に見えているとは限りません」と鈴木先生は話します。また、人は色を単色ではなく、他の色との組み合わせで認識しており、分かりやすい色の組み合わせを考えることがCUDの基本であると解説しました。

続いては、CUDOの岡川さんの講演です。「皆さんのお知り合いに、『佐藤さん』『田中さん』という苗字の方はいますか?日本人における色弱者はおよそ320万人、佐藤・田中姓を合わせた人数とちょうど同じくらいなんですよ*」という岡川さんの言葉に、参加者はその身近さを実感した様子です。

*ピープルデザイン研究所代表理事須藤シンジ様 講演より 引用)

また、「ユーザーには必ず色弱者がいることを理解し、提供する側はすべての人に情報が伝わりやすい色を選ぶことが求められます。最近では、色弱者立ち会いのもとで色の選定を行い、より多くの人にとって分かりやすい配色を選んでいる企業も増えています」と、岡川さんはCUDの必要性を語ります。

講演の後半は、バリアントールを体験するワークショップ。参加者たちは、一人に一つずつ貸し出されたバリアントールを着け、身の回りにある印刷物などを見て、気付いたことを発表します。「食品のカタログをバリアントールで見たら、焼いた肉と生の肉の違いが分からない」、「美術館の館内を色分けして説明している案内図も、バリアントールを通すと全部同じ色に見える」など、たくさんの発見がありました。

セミナーでは、CUDを推進している企業による、自社での取り組みの発表も行われました。
学童向け学習帳を製造・販売している株式会社キョクトウ アソシエイツは、科目別に色分けされた学習帳にCUD対応の色を用いています。また東洋インキ株式会社は、CUDチェックソフトを開発。誰でも無料でダウンロードできます。
そしてDNPメディアクリエイトは、CUDOと共同で「カラーユニバーサルデザイン・マネジメントシステム(CUDMS)認証」を開発。印刷分野では第一号認定事業者として、スピーディで確実なCUD認証を可能にしました。

参加者たちはCUDに高い関心を持ったようで、セミナーが終わってからも会場後方に設置されたブースに立ち寄り、バリアントールで熱心に商品を見比べていました。
バリアントールを開発した伊藤光学株式会社の担当者は、「色弱者の見え方を体験することで、色弱者への理解が深まると考えています。学校、企業、行政、医療など、バリアントールには幅広いニーズがあります」と話してくれました。

セミナー終了後に、CUDOの岡川さんにお話を伺いました。
「CUDは劇的にデザインを変えるわけではありません。少しだけ色の明るさを変えたり、縁どりをしたり、文字による説明を足すなどの工夫で、色弱者だけでなくより多くの人にとって分かりやすいデザインになるのです。5年後10年後に、CUDOが活動をする必要がないくらい、CUDがあたりまえになっているといいですね」。

DNPメディアクリエイトの小松さん・松川さんにもお話を伺いました。
「情報コミュニケーションツールを扱う企業として、すべての人に公平に情報を提供しなくてはならないという思いから、CUDMS認証開発に取り組んできました。これからも業界トップランナーとして、CUDOさんと連携しながら、CUD普及に努めたいと考えています」。(小松さん)

「このCUDセミナーは過去4回開催していますが、参加者全員にバリアントールを体験していただいたのは今回が初めて。体験したことで、皆さんには改めてCUDの必要性を実感していただけたと思います」。(松川さん)

まとめ

未来では「カラーユニバーサルデザイン」なんて言わなくても「あたりまえ」?!

CUDは、一部の困っている人を助けるためだけのものではなく、すべての人が便利で安全に暮らせるためのもの。まずは、色弱者がどんなことに困っているか気づくために、色弱者が声を上げられる環境づくりが必要だと感じました。色覚のタイプについても、血液型の種類くらい一般的に認知されれば、もっと開かれた議論ができるようになるかもしれません。
カラーテレビが登場したばかりの頃は、画面に「カラー」と表示されていたそうですが、今ではテレビはカラーがあたりまえ。未来では「カラーユニバーサルデザイン」なんて、わざわざ表記する必要がないくらい「あたりまえ」になってほしいものです。

 

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