Project37デジタルネイティブ世代が考える「紙でシェアしたい」雑誌とは?

市谷の學校×出版甲子園 アイデアファンディング for magazinemake

2015年11月2日更新

はじめに

デジタルネイティブ世代が考える「紙の雑誌の未来」

現代では、欲しい情報は誰でもすぐにパソコンやスマートフォンから手に入れられます。それに伴って、これまで情報収集ツールの1つとして機能してきた紙の雑誌が売れなくなってきており、新しい雑誌を企画・発行するのは難しいともいわれています。
その一方で、インターネットを通して資金を集める「クラウドファンディング」などのシステムにより、個人でも書籍を出版できる新たな可能性が生まれつつあります。
今回のワークショップでは、この2つの事実が導き出す「紙の雑誌の未来」について、「デジタルネイティブ」世代の大学生と「DNP市谷の學校」が一緒になって考えてみました。

活動内容

大学生が「紙で読みたい」「紙で作ってみたい」雑誌とは?

今回のイベントは、大学生主体の出版企画コンペティション団体「出版甲子園」と、あらゆる方に本の魅力を伝えるDNPの取組み「市谷の學校」とのコラボレーション企画の第2弾。「紙でシェアしたい」と思える雑誌、というテーマに基づき、大学生に「読みたい・作ってみたい」雑誌を考えてもらいました。
出てきたアイデアの中で秀逸なものは、DNPが提携するクラウドファンディング「ミライメイカーズ」で起案される可能性もあるという、DNPの新たな取り組みであることが提示されており、学生にとっては自分の企画を出版するという夢がかなうチャンスです。

ワークショップに先立って、審査員の皆さんより評価ポイントについて解説がありました。
「ビジネス賞」担当のGraffiti 代表取締役・鈴木さんは雑誌ビジネスについて、「ユニーク賞」担当の主婦の友社 「mina」編集長・藤村さんは雑誌の企画の立て方について、それぞれのご経験から貴重な話をしてくれました。
「共感賞」を担当するのはGREENFUNDING by T-SITE・沼田さんと、日本出版販売・柴田さん。沼田さんからは、クラウドファンディングが成立するための企画立案のポイントを教えていただきました。

「アイデアラッシュ」で頭の体操

企画会議を始める前に、雑誌の活性化について考えるアイデアラッシュが行われました。
最初のテーマは、「○○だから雑誌を買わない→こうなら買う」。チームごとに、雑誌を買わない理由とその改善策を、思いつくままに用紙に書いていきます。
次のテーマは、「○○さんに、こんな雑誌をプレゼントしたい」。著名人や友人知人などに、どんな雑誌をプレゼントしたら喜ばれるか、頭をひねります。

「みらいBOX」活動の紹介

続いてDNPの高橋さんから、DNPが運営する「みらいBOX」について紹介されました。「みらいBOX」とは、未来につながるさまざまなアイデアを、ツイッターで広く募集する仕組み。今回はワークショップと連動し、「未来では、こんな雑誌が読みたい」というテーマで生活者からアイデアを募集、そのアイデアがイベント会場に貼り出されていました。大学生の皆さんもこれを読んで、自分たちの企画の参考にしたようです。

チームディスカッションで考える「紙でシェアしたい」雑誌

いよいよ「読みたい・作ってみたい」雑誌の企画会議がスタート。各チームの会議の結果をアイデアシートにまとめます。記入する項目は、タイトル、コンセプトだけでなく、販売ターゲットや販路、3年後の展望や収益計算まであり、より具体的なビジネスプランが求められます。大学生の皆さんはアイデアラッシュで柔らかくなった頭をフル回転させ、積極的な意見交換をしながら、シートを埋めていきました。

記入したアイデアシートをスクリーンに投影しながら、「紙でシェアしたい雑誌」について、チームごとの企画を発表していきます。「インターネットと比較して紙は実体がある」、「紙の雑誌はそれ自体が芸術作品としても成立する」など、テーマである「紙」に基づいた意見が発表されます。審査員との質疑応答では、出版ビジネスのプロによる厳しい質問にも、自分たちの言葉でしっかり答えていました。

そして、審査員の皆さんから各賞の発表がありました。
ビジネス賞を受賞したのは、「チームPICASSO(ピカソ)」の雑誌「lavoro(ラボーロ)」。「シューカツは楽しい」をコンセプトに、就職活動に関心がある大学生をターゲットにしたおしゃれな”就活”雑誌を企画しました。Graffiti・鈴木さんから「エントリーシートの書き方例を付録につけるなど、すぐにでもビジネスとして成り立つ可能性がある」と高評価。「『みらいBOX』に集まったアイデアを参考に、提案内容をアレンジした。それが良い結果につながったと思う」と受賞者のコメントにもあるように、「みらいBOX」が生活者の声として活用されたようです。

ユニーク賞に選ばれたのは、「チーム・21g座(にじゅういちぐらむざ)」の、簡単に分解できて、記事単位の購入もできる雑誌「Share」。ワークショップのアイデアラッシュから刺激を受け、「記事ごとに買える雑誌」というアイデアがひらめいたとのこと。主婦の友社・藤村さんから「自分の好きな特集だけ選べ、雑誌をカスタマイズできるという発想が斬新」と絶賛でした。

共感賞は、「チーム・東京11号」の若者向けアート雑誌「ArtHolic」。日本出版販売・柴田さんは「既存の芸術雑誌は高年齢層向け。若者が絵を持ち歩く感覚で手軽に購入できる」と新しいアイデアを評価しました。 受賞者は、「ウェブサイトではなく、あくまで紙をテーマに雑誌の企画を考えるのは難しかった。まさか賞がもらえるとは思わなかった」と驚きを隠せない様子でした。

最後に、GREENFUNDING by T-SITE・沼田さんから全体の講評をいただきました。
「情報が簡単にインターネットで手に入る今、『お金を出して紙を買う』というハードルは、皆さんが想像している以上に高い。社会全体に目を向けつつ、ターゲットの絞り込みをすればが、ビジネスとして成功する可能性がある。『なぜ紙の雑誌を買うのか』、今後も考え続けて欲しい」。

まとめ

デジタル社会における「紙の雑誌の未来」とは?

今回のテーマは「紙でシェアする」雑誌。身近なコミュニティの中では、紙の雑誌の方がシェアしやすい面があることは事実です。これからの雑誌は「いかにシェアするか」を念頭に考えていくことが必要になるかもしれません。
また、今回のワークショップではクラウドファンディングで起案するという可能性もありましたが、受賞者が就職活動を控えているという事情から、起案には至りませんでした。
しかし、出版のきっかけを生み出すプラットフォームを通し、新しいアイディアが出版されるチャンスは拡がっています。
発想の柔軟な学生のアイデアが次々に出版される、そんな未来はそう遠くないのかもしれません。

 

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